履歴書の書き方

履歴書は、ただ埋めればよいというものではありません。これを使って、面接を乗り切るための道具です。以下のことに気を付けて、準備をしてください。


■使用する履歴書

市販の履歴書は、記入欄が少ないので、簡単に用意できそうです。しかし、面接をうまく乗り切るためにも、大学指定の履歴書を使いましょう。

本学に求人を出してくれている企業は、本学の学生の長所(特性)や短所をよく理解してくれて求人を出しています。そして、本学指定の履歴書があることを知っています。そのため、通常の履歴書を提出すると、「なんで、大学指定の履歴書を使わないの?」と言われてしまいます。そのように聞かれたら、緊張して面接もうまくいかなくなりますよね。指定の履歴書を使いましょう。

履歴書は、PCステーションで購入することができます。

履歴書が電子的に作れるようになりました(2022年3月)。何も書かずに印刷すると、(薄手の紙になりますが)白紙の履歴書として使うことができます。詳しくはキャリア就職課の案内を見てください。分からない時は学科就職室に問い合わせをしましょう。


■履歴書を手書きで書くかどうか?

ワープロ作成の履歴書について、各社に問い合わせたことがあります。概ね手書きに拘る会社は少ないです。ですが、文字はしっかり見るそうです。

つまり、履歴書が印刷の場合は、会社で記入した書類の文字を見るそうです。きれいであるかではなく、丁寧であるかを見ています。当たり前ですが、字は丁寧に書いてください。

特に、履歴書をワープロで作成した場合、会社で書いた申込用紙や作文の文字の丁寧さを見られることを意識してください。


■履歴書の左側

自分の生まれた年など、基本的な情報を書きます。意外と面倒ですので、早めに準備しましょう。一度書いたら、コピーを取っておくことをお勧めします。2枚目以降、書くのが楽になります。

また一度書いたら、キャリアアドバイザーに見てもらうことをお勧めします。不必要に空行を入れてしまったり、意外とミスをするものです。

履歴書の左側は一度完成したら、同じ内容を記述します。先に書きましたが、完成版をコピーしておくと、移すだけで済むので楽になります。


■研究内容(通常の面接の場合)

就職活動を始める段階では、卒業研究が決まっていないことが多いです。そのため、研究内容について、それ程気にしなくて良いでしょう。書かなくても良いかもしれませんが、書いておいた方が印象は良いですし、話も進みます(履歴書は、面接をスムーズに進めるためのツールです)。

※ キャリア就職課の方やキャリアアドバイザーの方は、ここの部分をしっかり描くように指導されます。後の方にも書きますが、就活の時期による温度差もあるのかもしれません。一見矛盾するようなことを言われるのは、社会では良くあります。この矛盾は自分の理解力不足によるものだと謙虚に受け止め、両方の意見を取り入れましょう。(実際は、本当に矛盾していることも多いです (T_T)。でもそれをうまく乗り切るのも社会で渡り歩くための必要な能力です。このようなことが起きたら、その練習だと思いましょう。)。

就職活動を早く始めており、研究内容が決まっていな時には、以下のようにするのが一案です。

指導教員の先生が行っている研究に興味があり、研究室配属を希望したのだと思います。その研究内容はどのようなものなのか、どういった課題があり、どういったところに興味を持ったのかを書いて、こういった研究をしていきたいと考えています、という内容を書けばよいと思います。

注意点があります。就職活動が遅く始めた人、始めたけれど長引いてしまっている人は、研究内容を詳しく書く必要があります。なぜならば、ある程度の時期まで来たので、卒業研究が進んでいるはずだからです。卒業研究が進んでいないということは、真面目に取り組んでいないということになります。これは、物事にきちんと取り組まない、という悪い印象を与えます。

ただし、ここでの「進む」は「成果を出す」ではありません。色々作業をしていくと分からないことが増えます。当初の予定よりも遅れるでしょう。当初の問題よりも小さい問題に変えたり、方向転換することもあるでしょう。これは問題への理解が深まっている証拠で、「研究は進んでいる」ということになります。簡単に言っていれば、作業していれば進んでいるということになります。


■研究内容(厳しく聞かれる場合)

研究内容について念入りに聞かれることがあります。これは研究内容に興味があるのではなく、卒業研究というものを通して、その人が、

などを見ています。これは、入社した後、その人がどのように仕事を進めていく人かを見ています。ですので、ただ指導教員の言われたとおりにやっているというのでは、ダメです。

もちろん、指導教員の指導通りにやることは大事です。その際にも、指導教員がどのような問題意識を持って、作業を指示しているのか、何か問題を感じた時に指導教員に質問できるか、逆に指導教員の指示を仰がぐまでもなく自分の判断で作業ができる程度に理解しているか、などを見ています。


■志望動機

志望動機を書く際に、相手企業の良いところを調べて、それに合わせていくというスタイルの人がいます。この方法は、相手を調べていて良いのですが、相手に合わせようとしすぎて自分の主張が無くなってしまいます。これが面接の際に、自分の考えが無いような印象を受けてしまう恐れがあります。

そこで、私は以下のようなロジックを進めています。

つまり1では、自分の信念、信条、好みを書きます。これは自己分析が必要です。今まで謙虚が美徳とされてきていたなかで、急に信念、信条、好みを聞かれても困ります。また、これが分かるのは自分だけです。色々自問自答してください(以下の『自分の分析(自分の興味)』を参考にしてください)。

そして2では、会社がアピールしていることを探します(以下の『会社の分析』を参考にしてください)。1で色々深堀していれば、3で繋げられるような2が見つけられるはずです。

自分のしたいことは、企業に応じて変更する必要はありません。この書き方では、自分のことを定型文章として7から8割、相手のことを2から3割書くことで、履歴書を書くことができます。しかし実際は、相手のことをもう少し書きたくなるので、5:5から4:6の割合になるのが普通です。

自分のしたいことがたくさんある人は、自分のしたいことを2,3パターン用意しておいても良いです。しかし、大変ですので、特にこだわりがないようでしたら、1パターンで十分です。


■自分の分析(自分の興味)

自分が何がしたいのか、自分の得意分野は何かと言われても、意外とすぐには思いつかないものです。時間をかけて行う必要があります。

とっかかりをつかむのもなかなか難しいです。人それぞれですが、以下のようなことから考えることを進めています。嫌いなものを敢えて上げさせているのは、好きなものが思いつかなくても、嫌いなものは思いつくことが多いからです。そして嫌いな理由の反対が好きな理由になりえる可能性があるからです。

これらを分析してみると非常に細かい人と成りが出てきます。ここでは、話の都合上、良くあることを抽象的な表現として「人の役に立ちたい」、「モノ作りが好き」などとして、話を進めていきます。

逆に「人の役に立ちたい」、「モノ作りが好き」という抽象的な話になってしまったら、ここから掘り下げてください。掘り下げ方は、このページの他のところで例示しています。これ以外にも、高校生向けの文章ですが、以下の文章も役に立つと思います。


■会社の分析

先程、自分の興味を自己分析しました。そこで、「人の役に立ちたい」、「モノ作りが好き」というのがあったとします。

「人の役に立ちたい」という気持ちは、営業でも役に立ちますし、開発の時の心持としても素晴らしいことです。すごく汎用的です。

「モノ作りが好き」が開発希望には、その通り役立つでしょう。モノ作りが好きにはその背景があったと思います。それは、新しい技術を勉強するのが好きなのかもしれないし、既存技術を改良するのが好きなのかもしれませんし、人に喜んでもらえるシステムを作るのが好きなのかもしれません。掘り下げた気持ちに、合致しない企業はないと思います。

自分の気持ちをしっかり掘り下げていれば、会社案内を見た時に、この部分は自分の気持ちと一緒だなというところが出てくると思います。これを先の「□□」として取り出して、履歴書に書きます。


■(雑談) 拘りの強さ

学生さんの中には、ゲームを作りたい、スマホアプリ作成業務じゃないと嫌だ、卒研の延長戦にある仕事がしたい、という人がいます。これはやりたいことがあって良いように見えますが、残念ながら、就職活動ではダメな拘りになることが多いです。

市場にニーズが無い限り、仕事として成り立ちません。仕方ないので、本当に作りたかったら(やりたかったら)、週末にやることをお勧めします。だって、本当にやりたいんだから、お金を貰わなくても、自分の自由時間を削ってでも、出来ますよね(^_^)。


■自己PR

謙虚が美徳とされてきたのに、急に自分の長所を話してくださいとか、自己PRしてくださいとか言われても困ると思います。

頑張った話、苦労した話から探るのが一つの近道です。その時に、掘り下げていくことがすごく大事です。例えば「色々な人とうまくやっていけるよう頑張りました」とかでも良いと思います。そのとき、「色々な人」をきちんと言わないと伝わりません。例えば、同級生(同学年の人。年は同じだけれど分野の違う人)、年上(30歳代、引退後の人)なのかです。そうすると、「バイト先で一緒に働いている人の構成が女子高生と40歳代、フリーター男性、主婦と様々で考え方も違って」など、追記できるかもしれません。そうしたら、今度はそれぞれがどのように違うのかも書けるでしょう。そのあと、この違った考えの人が集まると、どんな大変なことが起こったのか、が書けるでしょう。その次に、大変なことをどう収めたのか、この揉めごとからどのようなことを学んだのかも書けるでしょう。

このようにしてどんどん広げていきます(広げていくのは志望動機を書く時も同じです)。億劫がらずに紙に書いてみましょう。紙に書くと、自分の考えが思った以上にまとまっていないことが分かります。私の言葉ではないですが「書くことは考えることである」というのがあります。いっぱい書きましょう。

A4用紙1枚くらいに書く勢いで書きましょう。書けたら、これを抜粋して履歴書に書きます。ここまでする必要はないかもしれません。ですが、これは面接の練習になっています。履歴書に書いたことは質問されます。掘り下げられます。掘り下げられないことを書いても、自分で自分の首を絞めるだけです。履歴書にあらかじめ書いておけば、そのことを聞いてもらえると思えると思えば、この準備が無駄じゃないと思えるでしょう。


■自己PRの掘り下げるポイント

企業の人は自己PRすることを要求しますが、成功体験を聞きたいわけではありません。成功体験も大事ですが、成功・失敗に関しては興味があまりありません。面接(自己PR)を通じて、受験者の

などを知りたいのです。これは、卒業研究の内容を聞きたいときとも同じですね。上記の箇条書きの内容を意識して掘り下げると、ますます良い履歴書作成(面接対策)になるかと思います。

成功(夢)だけでなく、経過を語るのは、小中高とは逆のプレゼンテーション方法で、難しいかもしれません。「コミュニケーション能力」(リンク)のページを見て頂くと、どのようなプレゼンテーションが求められているか、分かると思います。

「成功した結果のみを述べている」現象を、企業の人は「自慢話」と呼んでいるようです (^_^;。