プレゼンテーション能力

小中高でプレゼンをする機会が多くなっているようで、多くの学生さんがそつなくプレゼンをこなすようになっています。しかし、必要な情報を与えてくれないと感じることが多いです。小中高までプレゼンテーションが得意だった人は、改めて勉強しなおす必要があると思います。今まで苦手だった人は、これから苦手に感じなくなるかもしれません。


小中高のプレゼンは、「到底できないような夢」の話か、「できたこと」かをするのが多いのだと思います。

「到底できないような夢」の話は、夢や、想い、自分の考え・主張を発表するものです。正解は一つではありませんし、そもそも誤りがありません。自分の想いの強さをアピールすればよいのです。主観の発表です。

小中高までは自分の想いを、恥ずかしがらずに伝えられる能力が求められていることの一つなのかもしれません。

「できたこと」のプレゼンは、「〇〇ができました。できたことにより、こんな夢みたいなことができます」と、ポジティブな内容です。小中高までの授業で、ポジティブな発表に離れているようです。

以降で詳しく説明しますが、大学以降のプレゼンは、作業を一生懸命し、その作業で「得られた成果」、「残っている課題」、「発生した問題」、「失敗(手戻り)」、「急な案件」などを話します。そして残念ながら、「得られた成果」の割合は少ないです。


他社に企画発表などする場合には、「(簡単に)できます!」と未来を語ることもあるかもしれません。しかし、多くの場合、会社および大学でのプレゼンは事実を伝える場です。客観的に現状を伝えることがほとんどです。そのため、最後に自分の意見を述べることがあるかもしれませんが、大半の部分は、事実やデータに基づき、論理的に組み上げていきます。

大学や社会人になって求められるプレゼン(報告)は、主に進捗報告です。進捗の報告では、客観的に作業を述べますが、

などを報告する必要があります。

高校までの発表では、成功したこと、または成功するであろう未来を発表します。成功に至るまでの過程は話しません。しかし、社会人の発表は、この成功に至るまでの作業(途中経過、失敗、直面している問題)を話す必要があります。そして、高校の発表に慣れてきた学生さんは、この「社会人のプレゼンでは大事な部分」を端折る傾向があり、必要な情報を与えてくれないと、受け手側は感じます。

研究などでは、当初できる予定のことが新たな問題が発生してできないことは良くあります。というか、あるのが普通です。こういった問題があるから、世の中では成功していないのです。そしてこの新たな問題の発見は進捗です。「誰しもができるであろうと思っていたが、実際にやってみた人が発見した問題」です。つまり、研究テーマに対する理解が深まったということです。これを指導教員に報告して、問題を細分化し、どこに注力するかなど、研究を進めていく方向を議論すればよいのです。

大学や会社でのプレゼンは報告です。「できました」ということには大きな意味はありません。出来ているのならば、そのまま続けていただければ良いからです。上司が聞く必要はありません。上手く行っていないから、上手くいくようにするのです。

■まとめ

高校までのプレゼンが苦手だった人も、ここで述べた社会で求められるプレゼン能力は、努力次第(テクニックの習得)で身に着けることができると思います。ぜひ、大学卒業までに身に着けてください。


実験で思った結果が出ないと怒る上司は、残念ながら少なくないようです。自然法則がそうなっているんだから、怒っても仕方がないと思うんですよね。

ちなみに、RNAワクチンの基本原理を確立したカリコ博士は怒らない人だそうです。