コミュニケーション能力
企業が求めるコミュニケーションとは?
就職活動をしていると「コミュニケーション能力のある人を求めている」と言われることが多いです。本学の学生の多くは、コミュニケーション能力には自信が無いと落ち込んでしまうことが多いです。皆さんが考えているコミュニケーション能力を持った人のイメージとは、ムードメーカーやパリピと呼ばれるような場を明るくする人のことではないでしょうか? しかし、企業が求めているコミュニケーション能力とは全く違います。誤解を恐れずに一言でいうと、ホウレンソウ(報告・連絡・相談)(*1)ができることです。
企業が求めるコミュニケーション能力は、必要な時に必要なことをきちんと伝えられる力です。具体的には以下のような感じです。
不具合が起こりそう(かなりの確率で起こる)ことに気づいた時に、きちんと指摘できる
進捗を報告できる
分からないことがあったら、質問できる能力
本学の学生さんのように真面目にコツコツ仕事をするタイプの学生さんならば、きちんと報告できるのではないでしょうか? 確かにサボっていると、サボりがばれないように、嘘をつく必要があります。
また、嘘をつく気は無くても、根拠なく進捗に関して「大丈夫っす。余裕っす」と答えらられるのも困ります。もちろん、本当に大丈夫ならば良いのですが、多くの場合、締め切り通りに終わりません。本学の学生さんにはこのようなタイプは少ないと思っています。
ソフトウェア業界は特に、作業量を見積ことが難しいのです。残念ながら、全くできていないと言っても過言ではないでしょう(*2)。誰も作業量を見積もれないので、現場の人に、実際に作業してもらい、問題の難しさ、進捗度合、残っている作業量などなどを報告してもらいます。この報告を基に、開発期間を延長したり、機能を減らすことを顧客に提案したり、します。
繰り返しですが、会社で求められるコミュニケーションとは「実際に作業して、問題の難しさ、進捗度合、残っている作業量を報告する」ことです。これは本学で習ってきたことではないでしょうか。
(*1) 「ホウレンソウ」は、目上の立場の者が、報告・連絡・相談しやすい環境を作りましょうという意味のようです。ここでは、下の立場の人が報告・連絡・相談しましょうという意味で使っています。
(*2) ソフトウェアの作業量を分析するために、ソフトウェアの機能数に着目して計測するソフトウェアメトリクスなど色々な研究分野がありますが、中々成功しておらず、経験則と人月(*3)に頼っているのが事実です。
(*3) 「人月」と呼ばれる単位です。「人間1人を一か月作業させることで達成できる仕事量」を表します。こんな大雑把な見積もりで良くないのはすぐわかることでしょう。ですが、実際はそのように管理するしか手が無いのが実情です。これを打破したい人は、ソフトウェア工学(ソフトウェアメトリクスなど)を研究してみてください。
- 余談 (分からないことを聞く)
分からないことがあったら聞けばよいと言いました。これは正しいのですが、相手があることなので、なかなか難しい技術です。簡単にはまとめられないのですが、出来るだけHowToとしてまとめると以下のようになるかと思います。
手順が手が止まってしまうようなときは、すぐに聞いた方が良いでしょう。忘れてしまっていたとしたら、謝りましょう。そしてメモを取るなどして、次は無いようにしましょう。ここまでしても怒られるかもしれません。ある程度は仕方がありませんが、理不尽なこともあります。この線引きは難しいです。
逆に聞かれる立場になったら、怒らずに何度も教えてあげましょう。怒られるのを恐れて報告が上がらない方が、深刻な事態になりがたいです。
聞かれたときは、出来るだけ、別の表現を使って答えてあげましょう。以前の回答では分かりにくかったということです。「この本に書いてある説明ではわからなかったけど、別の本を読んだら分かった」などと言う経験はよくあると思います。
進め方やソフトウェアの仕様などでは、あいまいな点が出てきて、確認したくなります。この時は、解決策のプランを複数考えたり、ある程度先を見越しておくと良いでしょう。
複数の選択肢があるときは、質問するときに「どう進めますか?」ではなく、「〇〇のような進め方と、□□のような進め方がありますが、どちらにした方が良いでしょうか?」と聞きます
プランが複数考えられ、さらにこのプランAを選んだとすると、さらに別の問題が出てくる場合があります。このようなときに、この問題も一緒に聞いておくために、「〇〇のような解決策と、□□のような解決策があります。この〇〇の解決策で進めると、△△のような問題もできます。・・・」のような感じです。
上記のように質問すると、きちんと考えていることを示し、怒られることも少ないかと思います。
- 余談2
本来ならば必要のない能力かもしれません。相手(上司)のコミュニケーション能力が低いときに、上手に対応できると、さらにコミュニケーション能力が高いと言われるでしょう。
課長に仕事を頼まれたときに、部長からも仕事を頼まれる。作業量的に同時に行うのは無理。この時に、きちんと問い合わせられる能力
「部長、今、課長から〇〇の案件を、××までに仕上げるよう頼まれています。部長の用事を先にしてしまうと、締め切りに間に合わなくなりますが、どちらを優先すべきでしょうか?」と言える能力
明らかに部長の用事の優先順位は低く、上記のように対応をしても、課長のことはお構いなしに押し付けてくることがあるかもしれません。そのようなときには、事前に課長に報告に行ける能力
「急がないけど、やっておいて」などと言われたときに、締め切りを提案する能力
「それでは、週末までに仕上げるのでよろしいでしょうか?」とか「少し手がふさがっているので、来週半ばまでよろしいでしょうか?」などと答えます
「急がない」という主観による指示はトラブルの元です。「今すぐじゃないけれど、今日中」を、「急がない」と表現する人がいるからです。
ここら辺は、秘書検定などにも出てくるものです。一度勉強しても良いですが、上司の言うことは絶対正しいというロジックで話が進むので、現代社会の仕事の進め方に則していないと感じるかもしれません (^_^)。
- 余談3 (小中高までに求められるプレゼンテーション能力との対比)
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