以下の情報は「産学官連携メールマガジン(2017年2月10日号)」より引用させて いただきました(リンク)。 ◆ソフトウェアを短時間で正しくバグ無く作る研究教授 五百蔵重典ソフトウェア工学は、ソフトウェアを作る方法を研究する学問です。しかし、ソフトウェアの 適用範囲は多岐に渡るため、小さい領域では適用可能でも、多くの場合に適用可能な手法は少な いのが現状です。そこで我々は適用範囲を広げるために、実地調査として、幅広い範囲のソフト ウェア開発を行っています。一つの例として、スマホでの点字を利用した健常者向け文字入力な どを行っています。地域貢献にも積極的で、森の里4丁目地域の目防犯ネットワークのIT部門を お手伝いしています。社内業務改善のために、「業務に特化したアプリを作るのではなく、簡易 的なツールの作成で十分である(Unixの本当の思想)」ということがご理解いただける方にはア ドバイスができることがあるかもしれません。 http://ldl.ic.kanagawa-it.ac.jp ◆情報技術を活かしたビジネスプロセスの評価手法の検討教授 稲葉達也企業がビジネスに情報システムを活用することが一般的になっている。しかし、自社にマッチ したシステム、投資額に見合ったシステムを見極めるのは企業にとって簡単なことではなく、必 ずしもすべての企業が情報システムの活用に満足しているわけではない。このような状況では、 システムを導入する前に、導入後のビジネスプロセスを想定し、その効果を見極めるシミュレー ション手法や、他社の成功事例の活用が有用となる。本研究室では、流通業や小売業の企業を題 材として、情報技術を活用したビジネスプロセスの提案、離散イベントシミュレーションを用い た評価をおこなったり、企業の情報技術活用に関する事例研究をしたりしている。 http://www.kait.jp/ug_gr/undergrad/info_science/info_engrn/academic/inaba.html ◆果樹園農家支援のためのセンサデータ取得と解析に関する研究准教授 大塚真吾現在、果樹園農家の高齢化や後継者問題、輸入果物との価格競争など様々な要因により、果樹 園農家の数や果樹栽培面積が年々減少している。この問題の解決には、高品質な農作物を生産し、 利益率を向上させることが重要である。我々はITを活用してこれら問題を解決すべく、環境の異 なる2つの果樹園(島根県隠岐郡と神奈川県小田原市)に環境センサを設置し、そこから得られた データと農作物の品質との関連性の抽出に関する研究を行っている。これにより、高品質な農作 物を継続的に生産するためのノウハウを蓄積することが可能となる。本研究ではみかん農園にお いて実証実験を行っているが、得られた知識はみかんだけでなく他の農作物にも適応可能である と考えている。 http://www.kait.jp/ug_gr/undergrad/info_science/info_engrn/academic/otsuka.html ◆FPGAを用いた信号処理のハードウェア応用教授 木村誠聡本研究では映像信号のフィルタ処理やネットワーク通信処理に対するFPGAを用いたハード ウェア化の研究を行っている.映像信号は静止画を高速に切り替えることで動画を構成している が,雑音除去などのフィルタ処理を適用させる場合,約15m秒の時間内でフィルタ処理を施す 必要がある.単純なフィルタ処理であればCPUによる処理も可能であるが,より高性能なフィ ルタ処理の場合,CPUを用いたシステムでは処理が間に合わない場合が生ずる.そこで映像信 号に対してフィルタ処理のFPGAによるハードウェア化を実現させることで,本研究室で提案 している高度なフィルタ処理を実時間で処理させることを可能としている. http://www.ess.ic.kanagawa-it.ac.jp/res_pub/res_pub.html ◆ITS(Intelligent Transport Sysytem)に関する技術開発教授 清原良三自動車は多くのECU(Elctric Control Unit)で制御され,今やIT技術なしでは成立しない.特 に,自動運転自動車では,各種センサを活用し,周辺の状況を分析するなど,ITの中でも基盤技 術,ネットワーク技術,知識処理技術といった要素技術を活用してシステムとして構築する.ま た,個々の自動車ではなく,多数の自動車を対象とした交通流などの分野もまた,統計学やシミ ュレーションの技術が必要となる.本研究室ではこのITSとモバイルコンピューティング技術を 中心に研究をすすめ,自動運転時代が到来した際の各種課題の抽出,分析とその解決策の提案な どを中心に研究開発を進めている.とくに,自動運転でも,最終的には人が責任を取るモデルを 考慮すると実際には最終段階での人の動作が入ることが交通流全体に影響を及ぼすこともあり, こういった課題への対策が重要である. http://www.kait.jp/ug_gr/undergrad/info_science/info_engrn/academic/kiyohara.html ◆オープンデータを利活用して問題解決を行うシステム開発の研究助教 鈴木孝幸2016年12月には国会で「官民データ活用推進基本法」が成立し、国内外でもオープンデータ の利活用が最重要課題とされて注目されています。政府や地方自治体、民間企業が持つデータを オープンなライセンスの元に制限なく使用でき、様々な分野でのビジネスチャンスが広がってい くことも期待されます。オープンデータを利活用するための情報システムの構築、システム間連 携、スマートフォンアプリの開発などを通じて、問題解決を目指す研究を行っています。また、 AI(人工知能)技術による分析やIoT(インターネット・オブ・シングス)の技術による情報集 積も積極的に活用しています。 http://www.kait.jp/ug_gr/undergrad/info_science/info_engrn/academic/suzuki.html ◆ソフトコンピューティングの数理最適化への応用准教授 須藤康裕今後いたるところで計算機が自律的に問題解決に臨み、人間の仕事を取って代わっていこうと している。そのためには数理モデル化と問題解決器の構築を分離し、汎用性を高めていくことが 不可欠であろうことが予測される。また、その人工知能の性質を人間社会に違和感無く浸透する ようにするには、人間をはじめとする生物のもつ柔軟さ・曖昧さを許容していくことが一つの解 決策であると考える。ファジィロジックや進化的計算などを駆使し、実時間内で許容解を高速に 得るための研究を行っている。 http://www.kait.jp/ug_gr/undergrad/info_science/info_engrn/academic/sudo.html ◆知的ソフトウェア開発支援ポータルサイトの実現に関する研究准教授 鷹野孝典IT人材の育成・教育,ITインフラ環境の構築,および研究開発成果の世界標準化の実現のために, 国際競争力のあるソフトウェア開発技術を成熟・普及させることが必須である.しかし,ソフト ウェア開発は,個々の開発者のソースコード作成能力から,チーム開発,ドキュメント作成,動 作テスト,保守管理等に関する知識技術を必要とする複雑なプロセ スであり,一定の方法論がソ フトウェア開発や学校教育の現場で必ずしも定着していると は言えない.本研究では,ソフトウ ェア開発時においてWeb検索やソースコード検索エンジ ンを利用したソースコードや必要知識 の獲得結果がソフトウェア開発の生産性に大きく影 響する状況に着目し,教育分野での利活用も 視野に入れた知的ソフトウェア開発支援ポー タルサイトの実現を目指している. http://www.kait.jp/ug_gr/undergrad/info_science/info_engrn/academic/takano.htm l ◆アジャイルソフトウェア開発プロジェクトの可視化と改善教授 田中哲雄アジャイルソフトウェア開発では,壁やホワイトボードに付箋などを貼りプロジェクトの状況 を見える化するカンバン手法が用いられます.本研究では,カンバン手法をPC上で運用するデジ タルカンバンを開発して,学生プロジェクトに適用しています.本カンバンは,開発者ごとの仕 掛量や各タスクのリードタイムなどを可視化する機能をもちます.学生プロジェクトに適用した 結果,本カンバンを用いると,納期と開発者のスキルを考慮したタスク割り当てが可能になるこ と や,タスクの分析不足の反省が得られることが明らかになりました.今後は,デジタルカンバ ンの操作ログを分析してプロジェクトの問題やその予兆を早期に発見するための機能を提供する 計画です. http://www.kait.jp/ug_gr/undergrad/info_science/info_engrn/academic/t_tanaka.html ◆音を用いた高精度屋内測位システムの研究開発情報工学科・教授 田中 博本システムの特徴は、誤差数cm以内の高い位置検出精度を確保できることにある。屋内では、 一般に屋外に比較して高い測位精度が要求されることが多いと思われるが、この要求に対応する ものである。屋内での搬送車両の自動走行、高精度なナビゲーション、導線モニタなどへの利用 を想定している。音源は専用音源、あるいはスマートフォン内蔵スピーカを用いている。スペク トル拡散技術によって、複数の音源の収容を可能にしている。現在はさらに、音源に一次変調と してセンサ情報を埋め込んだのちに拡散することによって、情報送信と位置検出を同一システム で実現するシステムの開発に取り組んでいる。 http://www.tnklab.ic.kanagawa-it.ac.jp/tanakalab/index.htm ◆データの意味抽出方法とその自然環境変化の要因抽出への応用研究教授 陳幸生データの中に含んでいる意味を抽出するため、意味のないデータの削除、意味のあるデータの 特定、および、同様な意味を持っているデータの合併操作が必要である。それを実現するため、 本研究では、高次元空間の生成およびデータをその空間上に射影する方法を提案した。この方法 の特徴は、統計および学習により、高次元の空間を生成し、データをこの空間上に射影し、射影 されたデータ間の距離を求めることにより、意味を抽出できることにある。自然環境から得たセ ンシングデータ、主に、画像データ、温度データ、水質データなどのデータをこの高次元空間に 射影し、データの距離を測ることにより、自然環境に与える変化の要因の抽出が可能となってい る。現在、本研究室は、国内外の大学および研究機関と連携し、アジア、アメリカ、および欧州 の空中で撮影した画像、川、海の水質データを収集し、自然環境変化の要因の抽出および分析に 取り込んでいる。 http://www.kait.jp/ug_gr/undergrad/info_science/info_engrn/academic/chen.html ◆ 欠損した画素をシームレスに補完する画像処理技術に関する研究教授 辻 裕之画像処理における多くの問題は,欠損した画素を補完する問題として定式化されます.インパ ルス雑音の除去,画像の補間拡大や超解像処 理,傷の修復(インペインティング),さらには画 像中の不要オブジェクトの除去に至るまで,すべて欠損画素の補完の問題と見ることができます. 当研究室では,熱の拡散に由来する非線形の偏微分方程式(PDE)に基づく画像の正則化手法を利 用して,上述の様々な問題を解決する手法を検討してきました.近年では,符号化歪みが重畳し たJPEG画像を,歪みを強調することなく補間拡大する提案を行っています.今後はテンソル補完 と呼ばれる技術を導入し,様々な画像処理の問題への適用を検討する予定です. http://www.kait.jp/ug_gr/undergrad/info_science/info_engrn/academic/tsuji.html ◆実世界モデル化法の研究准教授 西尾公伸ソフトウェア開発の最上流工程のワークとして「要求獲得」がある。JSK(Jackson System Development)法においてM.A.Jacksonの言う実世界のモデル化、model-0の構築である。多種多 様のソフトウェア開発における要求獲得手法の確立のため、オブジェクト指向技術の一つの発展 形として実世界モデル化法を研究している。この一環として、実世界の一つの事例として食物の 調理手順を適用事例とし、調理シミュレーション方式を検討している。これは、ソフトウェア開 発技法のための布石となると同時に、レシピに基づく調理シミュレーションによる栄養価等の自 動計算法の確立という副次的な目的もつ。 http://www.kait.jp/ug_gr/undergrad/info_science/info_engrn/academic/nishio.html ◆継続的な生体個人認証によるセキュリティ強化に関する研究教授 納富一宏本研究では,モバイルデバイスのセキュリティ強化を目的に,これまでに生体個人認証におけ る身体的特徴(顔,手指形状)および行動的特徴による諸要素(音声,ジェスチャ,リズム,軌 跡,タッチ動作,保持姿勢)について,自己組織化マップなど機械学習を用いた個別検証方式の 開発を進めてきた.個々の単一要素による認証はいずれも90%以上の認証精度の実現を達成した. 今後は,これら諸要素を組み合わせたマルチモーダルでの認証方式に関して検証実験を行う必要 がある.さらに,最初のログイン時の認証だけでなく,システム使用中の継続的な認証手段の開 発が重要視されていることから,継続個人認証方式についての検証が今後の課題である. http://www.kait.jp/ug_gr/undergrad/info_science/info_engrn/academic/notomi.html ◆人工知能の基礎理論から応用まで教授 松本一教 人間と同等な知能(知性)を実現するためには,少なくとも3種類の異なった能力の実現が必 要となる.それらは,帰納,演繹そして類推である.また,知能実現へのアプローチとして,記 号計算主義とコネクショニズム(脳模倣主義)に分けることもできる.いま人工知能実現の技術 として脚光を浴びているディープラーニングは,コネクショニズムにもとづくものであり,帰納 や類推の実現に威力を発揮している.しかし,演繹に関する能力を欠いており,この技術だけで は論理的な深度を持つ知能の実現は不可能である.そこで,当研究室では,記号主義とコネクシ ョニズムの両者が共存する新たな人工知能の理論構築を目指している. http://www.kait.jp/ug_gr/undergrad/info_science/info_engrn/academic/matsumoto.html ◆機械読唇技術に関する研究教授 宮崎 剛機械読唇とは,コンピュータを使って発話映像から発話内容を判別することを言います.本研 究では,発話中に形成される時系列の日本語の母音口形を解析し,発話語句を推定することを目 指しています.口形の解析には高度な画像処理技術が必要となり容易ではありませんし,話し方 や口の開きの個人差,また撮影環境にも影響を受けてしまいます.実環境での利用に向けては取 り組むべき課題はたくさんありますが,将来的にはスマートフォンやタブレットといった装置で 使用できるアプリとして実現させたいと思っています.音声認識技術が発達する中,明瞭に発声 できない人や発声ができなくなってしまった人などの声なき発話を機械で認識できるように, 日々研究を続けています. http://www.kait.jp/ug_gr/undergrad/info_science/info_engrn/academic/miyazaki.html ◆情報工学技術を用いたスポーツの競技力向上に関する研究教授 谷代一哉近年の情報工学技術の発展は目覚しく、それらはスポーツの分野においてもすでに使用され始 めている。練習時の生体情報や運動動作、また試合中の選手の動きやフォーメーションなどを測 定し、それらを数値化や視覚化し、選手たちに即時に還元(フィードバック)することも行われ ている。このことからアスリートにとっては、感覚的に行っているスポーツも改めて多くのこと が明らかになりつつある。しかしこれらのことは、アスリートの競技力向上の一助となり得るこ とが考えられるが、選手たちの生体内にどのような変化を引き起こしているのか、そのメカニズ ムは明らかではない。そこで、情報工学技術を用いた計測とアスリートの生体情報の変化に着目 を行い、その関連性について検討していく。 http://www.kait.jp/ug_gr/undergrad/info_science/info_engrn/academic/yashiro.html |